財産分与で家電はどうなる? 離婚時の分け合いルールや注意点
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練馬区が公表している令和5年度の統計書によると、令和4年中に練馬区の夫婦が離婚した件数は949件でした。
夫婦が離婚をする場合、配偶者に財産分与を請求することができます。結婚してから購入した大型テレビや、冷蔵庫、洗濯機などの家電類はどのように分け合ったらよいのでしょうか。また、独身時代から使っている家電についても、相手と分け合わなければならないのでしょうか。
本コラムでお伝えすることは、大きく以下の2つです。
・ 財産分与の対象となる財産の種類、家電の扱い
・ 財産分与で家電を分ける方法、注意点
これから離婚する方や離婚を考えている方に向けて、ベリーベスト法律事務所 練馬オフィスの弁護士が、わかりやすく解説していきます。
1、そもそも財産分与の考え方や対象となるものとは?
財産分与の概要や、財産分与の対象となるもの・ならないものについて解説いたします。
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(1)まず知っておきたい財産分与について
財産分与は、夫婦が離婚する場合、夫婦の一方が、他方に対して財産分与を請求することができる権利と規定されています(民法第768条1項)。
この制度は、夫婦が共同生活を送る中で形成・維持した財産について、公平に分担するためのものです。この他にも、離婚後に財産的な基盤を失う夫婦の一方に対する生活保障や、不倫などにより婚姻関係の破綻の原因を作った側への損害賠償の性質があると考えられています。
離婚する夫婦の財産分与の割合については、原則として「2分の1」とされることが一般的です。
たとえば、夫が会社勤めをしていて妻が専業主婦であったとしても、妻には2分の1の財産分与請求権が認められます。夫婦のうち一方が給与収入を得ていないとしても、その者が家庭で家事労働に貢献したことによって、もう一方が外で働いて収入を得ることに集中することができたと考えられているからです。 -
(2)財産分与の対象となるもの
財産分与の対象となる財産とは、「婚姻期間中に夫婦が協力して形成・維持した共有財産」を指します。
夫婦共有財産となるのは、具体的には以下のようなものです。- 結婚後に購入した土地、建物などの不動産
- 結婚後に購入した自動車、家財道具
- 結婚後に貯蓄した現金・預貯金
- 株式や投資信託などの有価証券
- 保険の解約返戻金
- 退職金
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(3)財産分与の対象とならないもの
以上のような夫婦共有財産に対して、「特有財産」は財産分与の対象とはなりません。
特有財産とは、「夫婦の一方が婚姻前から有する財産及び婚姻中自己の名で得た財産」のことを指します(民法第762条1項)。
そのため、独身時代に貯蓄・購入された現預金・有価証券・自動車などは、財産分与の対象とはなりません。
また、「婚姻中自己の名で得た財産」とは、夫婦の一方が相続人として承継した相続財産や、受遺者として譲り受けた贈与財産などのことを指します。
2、財産分与における家電の扱いはどうなる?
では、財産分与において家電の扱いはどうなるのでしょうか? 財産分与の対象となる家電とならない家電について解説します。
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(1)財産分与の対象となる家電
上記で解説したとおり、財産分与の対象となる財産は、「婚姻期間中に夫婦が協力して形成・維持した共有財産」です。
これにあてはまる家電製品については、財産分与の対象となります。
財産分与の対象となる家電については、たとえ名義が夫婦の一方となっていても、夫または妻のクレジットカードで決済されていたとしても、夫婦で公平に分与する必要があります。
そのため、結婚後に夫や妻の給料で購入された冷蔵庫や洗濯機、テレビなどの家電製品については、いずれも財産分与の対象となる可能性が高いでしょう。 -
(2)財産分与の対象とならない家電
上記に対して、結婚する前に購入された家電製品や、婚姻時に持ち込まれた電化製品などについては、財産分与の対象とはなりません。
たとえば、結婚前の独身時代から利用している冷蔵庫、洗濯機、テレビを結婚後も引き続き利用しているという場合には、「夫婦で協力して形成・維持された財産」とはいえないため、財産分与の対象とはなりません。
また、婚姻中であっても、妻の両親が妻のために買い与えた家具・家電については、「夫婦が共同して形成した財産」とは言いにくいため、財産分与の対象からは除かれます。
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3、財産分与で家電を分ける方法
家電は、現金のように単純に半分ずつ分けるというのは難しいですが、どのように分ければよいのでしょうか。家電の財産分与の方法について解説します。
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(1)夫婦で話し合って振り分ける
財産分与において家電を分ける場合、夫婦で話し合って、それぞれに振り分けるという合意をすることが考えられます。
まずは、財産分与の対象となる家電のリストを作成し、そのリストに基づいて夫婦のいずれが、どの家電を譲り受けるのかを話し合って決めることができます。
たとえば、DVDレコーダーやオーディオセットについては、気に入って利用していた夫が譲り受ける一方で、テレビや洗濯機、冷蔵庫については、妻の嗜好(しこう)で購入されたものであるため、妻が譲り受ける、という風に話し合って決めることが可能です。
このような分与方法をとることで、使い慣れた物を離婚後も引き続き利用することができます。また、離婚後に買い直す必要がなくなりますので、新生活の初期費用を抑えることも可能です。 -
(2)夫婦の一方が取得して、他方が代償金を得る
上記のように家電を夫婦で振り分けた場合、公平に財産を分けたとは言えない状態になるおそれがあります。
たとえば、夫は高価な大型液晶テレビを譲り受ける一方で、妻側は安価な家電を譲り受けるというのでは、財産を公平に分担したとは言いにくいでしょう。
このような場合には、高価な家電などについては離婚の際に時価を算定して、その財産を譲り受けない方に対して代償金(評価額の2分の1の現金)を支払うという方法が考えられます。 -
(3)売却または現金化してその金額を分ける
上記2つの分け方は、離婚後も夫婦のいずれか一方が家電を引き続き利用する場合にとられる方法です。
しかし、離婚後に夫婦のいずれもがその家電を使わない・使いたくないという場合には、その家電を売却して現金化したうえで、その現金を夫婦で半分ずつ分けるという方法をとることもできます。
夫婦生活で利用していた、大容量の冷蔵庫や大型液晶テレビなどについては、離婚後に譲り受けても置き場所に困るということも考えられますので、夫婦で話し合って財産分与の方法を決めるとよいでしょう。
4、財産分与で家電を分ける際の注意点
財産分与で家電を分ける際に注意すべき点について解説します。
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(1)財産分与前に勝手に家電を売却しない
離婚するからといって、財産分与をする前に、夫婦の一方が勝手に家電を売却・処分してしまうというケースがあります。
しかし、財産分与前に財産を勝手に処分してしまうと、相手方から損害賠償を請求されてしまうおそれがあります。
共有財産のみならず、相手方の特有財産を勝手に処分した場合にも、賠償リスクが生じてしまいます。財産分与手続きが完了するまでは、自分の財産であったとしても、無用なトラブルを避けるために勝手に売却・廃棄しないようにしましょう。 -
(2)家電の分け方について合意書を取り交わしておく
財産分与をする場合には、合意書を取り交わしておくようにしましょう。
財産分与に関する合意は口頭でも行うことができます。しかし、手続きが終わってから「あの家電は自分が譲り受けた」「相手に勝手に持ち出された」などと主張されてしまっては、紛争が蒸し返されて、言い争いになる可能性があります。
したがって、財産分与に関する合意内容については書面にして客観的に残る形にしておくことが重要です。
離婚時には、財産分与以外にも、慰謝料や親権・養育費など、さまざまなことを当事者間で取り決める可能性がありますので、それらについても一緒に書面化し、離婚協議書として取り交わしておくようにしましょう。
5、まとめ
以上、財産分与において家電を分ける方法は、話し合いによって振り分けたり、売却して現金を分けたりする方法があります。
他方、結婚前から使用していた家電や親が買い与えた家電などについては、財産分与の対象とはならない可能性が高いため、注意が必要です。
離婚に際して財産分与やその他離婚トラブルでお悩みの場合には、ぜひベリーベスト法律事務所 練馬オフィスの弁護士にご相談ください。当事務所には、離婚トラブルの解決実績が豊富な弁護士が在籍しておりますので、適切な法的アドバイス・サポートを提供いたします。
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